緑乃帝國 緑のオンライン文芸誌

世界の緑化を推進するウェブログ形態のオンライン文芸誌

愛玩動物

【信号柱倒壊 犬の尿が原因か】
 X日夕方、Y街で信号柱が部材の腐食から突然折れる事故が起きた。自転車で通りかかった通行人がその影響を受け、軽い怪我をした。
 信号柱の腐食はおそらく犬の尿によるものではないかと考えられている。

【鳴き声により不眠障害 隣人刺す】
 X日夜、Y市で傷害事件が発生。加害者は隣人宅で飼われていた猫四匹の夜鳴きにより一年以上に渡り不眠障害に悩まされていた。加害者は幾度となく隣人に改善を申し立てたが聞き届けられず、我慢ができず犯行に及んだ模様。

【十八歳巨乳美女 公園に全裸で放置】
 X日早朝、Y町の公園で十八歳Fカップの巨乳美女が全裸で横たわっているのを通りかかった男性が発見した。
 女性は全身を縄で緊縛され、自分一人では身動きできない状態だった。技巧の美麗さから、警察は何らかのプレイの最中か直後に放置されたものとみて捜査を進めている。

【女性にアザラシ移植 医師逮捕】
 X市内のYクリニックにおいて、女性の胸部にアザラシを移植したとして医院所属の医師が傷害罪の疑いで逮捕された。移植されたアザラシは女性がペットとして飼っていたもので、移植は女性の希望によるものだった。
「小さい胸にコンプレックスがあった。アザラシを移植すれば胸が大きく見えるし、いつも一緒にいられるからいいと思った」
 と女性は動機を語っている。

【ハムスター巨大化 テレビ塔倒す】
 X日未明、Y県広域において巨大化したハムスターが暴れる事件が起こった。ハムスターはペットとして飼われていたもので、飼い主が毎日美食を与え続けたため肥大、巨大化し、飼い主の手にも負えなくなって戸外へ逃げ出した模様。ハムスターは県内でテレビ塔や重要文化財の城を損壊し、テーブルをひっくり返し、板前と女将を怒鳴りつけながら北上を続けている。
 飼い主はハムスターにユウザンと名付けていた。

【厚生大臣 飼い主に苦言】
「そもそも人間の九割がろくでもない上、中でもペットを飼おうなんていう人間は輪をかけてろくでもない者が多い。己の躾も満足にできないのだからペットの躾なぞできなくて当たり前で、ペットよりはまず飼い主の方をこの世から処分した方がいい。そうすれば世の中も多少はよくなる。ヤツらこそアイ癌動物だ。目の癌だ」
  1. 2007/08/21(火) 13:23:36|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

赤裸々

 今日こそははっきり言っておこう。
 君の身体だけが目的なんだ。

 肩で切り揃えた艶やかな君の黒髪が好きだ。
 潤んで僕を見つめる君の瞳が好きだ。
 むしゃぶりつきたくなる君の唇が好きだ。
 ちょっと尖った顎からやさしい丸みを帯びた肩までのラインが好きだ。
 細い二の腕としなやかに動く白い指が好きだ。
 服の上からでもその存在を誇示し、柔らかな触り心地を与えてくれる二つの膨らみが好きだ。
 必要なだけの肉と弾力と僕の視神経を刺激する魅力を持った君のおなかと腰回りが好きだ。
 少しだけ突き出た、理想的な丸みを持つそのお尻が好きだ。
 そのお尻から伸びる脚の曲線と滑らかさが好きだ。
 太股の付け根にある黒子が好きだ。
 扇情的な色香を備えた脹ら脛と足首が好きだ。
 僕の指の動きに敏感なその肌が好きだ。
 僕のお願いを忠実に再現する君の舌遣いが好きだ。
 上目遣いで僕を見るその表情が好きだ。
 感極まって鳴くときの君の声が好きだ。
 引き締まった背中とそこを流れ落ちる汗の匂いが好きだ。
 小さい頃に怪我をしたという脇腹の傷跡が好きだ。
 もちろん、具合は最高だ。

 もう一度だけ、はっきり言っておこう。
 君の人格なんて、正直どうでもいいんだ。



 なおこの作品はあくまでフィクションであり、実在の作者の思想とは一切関係がない。ないんだってば。
  1. 2007/10/30(火) 12:13:49|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

その他多数

 その他多数には名前がない。
 厳密にいえばあるのだが、それはその他多数にとっては名前ではない。その他多数が求めている名前というのは今持っているそれとはまた別のものだ。
 X県のある郡では園田姓が十割を占めるという。親戚遠戚である園田さんも当然多くて、地域ぐるみで家族のような付き合いをしているのだという。一つの郡が一つの大家族で、彼らの名前が全員園田。つまりこれは園田多数である。園田限りともいう。
 だがその他多数が求めているのはそんなものではなかったし、その場限りのものでもなかった。
 自分は一個の存在なんだという証明。それがなければ、生きていくことはつらい。生きていくことは苦しい。その他多数がまだ生きているのは、名前を得たいという目的があり、そこへの道筋がまだ残っていると信じているからだ。その光明を失ったとき、彼らが世界にいるのかどうか。それは誰にもわからない。
 彼らは名前を手に入れようと藻掻き、足掻き、精一杯に手を伸ばす。しかしもう少しで掴めそうだというその指先から、名前は容易に逃げてしまう。ソノッ、タタ、スーッと逃げてしまう。
 だから、その他多数には名前がない。今日も明日も、名前がない。
  1. 2008/02/05(火) 17:34:24|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

神様は君が天国から逃げてきたって事、知ってるのかな?

「ねぇ、君って天国から落ちてきたとき、痛くなかったの?」
「貴様、なぜそのことを知っている」
 口説き文句に返ってきたのは意外な反応だった。
「知られたからには生かして帰すわけにはいかぬな」
 合コン会場となった居酒屋の中はまさに宴たけなわで、僕と彼女の会話に注意を払っている者はいない。そして皆酔っていた。僕も酔っていた。
 アプローチが悪かったか、と思った僕は別の台詞で攻めてみることにした。
「君の瞳が唯一僕に教えてくれないもの……。それはね、君の名前だよ」
「なるほど、読心術か。人間の中にはまれに神通力を備えている者がいるとは聞いていたが」
 彼女が急に立ち上がった。白いワンピースが酔眼に眩しい。酔った頭でも何やら彼女の機嫌を害したらしいと気付いた僕は、慌てて彼女に倣った。
「まあ、座りなよ。君は疲れているだろう? だって、君は僕の心の中を一日中走り回っているんだから」
「つまりすべてお見通しというわけか。この先この星がどうなるのかも、すべて」
「ああ。僕にとって世界はすべて僕のものさ。でも、もし君が僕の彼女になれば、世界の半分を君にあげよう」
 僕は彼女の両肩に手を置いた。あくまでもさりげなく、したつもりだった。
「貴様のその力と野望は、危険だ。今ここで排除する」
 彼女の両肩が光り始めた。思わず手を離す。聖女のようだった彼女の形相は鬼のそれに変貌し、瞳には炎が灯っていた。
「ご、ごめん! これはその、べつにやましい気持ちは……少しはあったけど! その、別にエロいことをしようとかそんなつもりじゃなくって!」
「黙れ。そして地獄で悔い改めろ」
 彼女の背中から銀色のアームが飛び出し、開いた。それはまるで、天使の翼のようだった。
 僕の視界が目映い光に包まれた。それが僕がこの世で見た、最後の景色だった。
 意識が消滅する最中。僕はインターネットで見た口説き文句ベストテンの記事を思い出していた。ああ、そうだ。あれにしておけばよかった。
「『とても綺麗なウイングだよ』って言ったら、君は僕を抱きしめてくれるかい?」
  1. 2008/04/08(火) 20:44:54|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

時計のハリー

 俺は時計のハリーだぜ。
 ハリーアップとアイツが叫ぶぜ。そうすりゃ俺は上昇するぜ。螺旋を描いてぶっトブぜ。
 だけどときには下降もするぜ。ラインめがけて急降下だぜ。
 一秒たりとも止まることなく、いつでも俺は全力疾走。
 今となっては若くはないぜ。けど、今しか出せないリズムもあるぜ。
 だから俺は今日も叫ぶぜ。十六歳(シックスティーン)のビートを刻むぜ。
 だけどアイツは見向きもしねえ。俺もとうとうお払い箱さ。
 朝日の当たるステージ上から、片手を上げておさらばするぜ。
 かけてくれよな感謝の台詞を。背中越しでもいいからよ。
 あばよ相棒、だけれども。たまには思い出してくれよな。

 俺は時計のハリーだぜ。壊れた時計のハリーだぜ。
  1. 2008/05/13(火) 18:23:33|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
前のページ

編集人

Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

最近の作品

作者一覧

最近のコメント

最近のトラックバック

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ