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その日、目が覚めてからメロンパンを食べるまでの出来事

「案内できるのは、ここまでだ」
 前を行く男が、振り向きもせず告げた。夜明け前の薄暗さにも目が慣れ、進む先が開けた場所になっているのがわかる。
「本当に行くのか。賢いやり方とは思えんがね」
「メロンパンが食べたい。そう言いながら妹は運ばれていった。その声が、耳から離れない。それだけだ」
「そうか」
 メロンパンが消えてから、どのくらいになるだろう。含有されている果汁0%に強い依存性があると判明したときには、すべては手遅れだった。白い果実はすでに全世界に蔓延し、人々は依存症に冒されていた。
 人々は皮膚を掻き毟り、叫び声を上げ、メロンパンを求める。だが、求めるものはすでに失われた。そのはずだった。
 そのメロンパンの群生する畑が、目の前にある。利権を貪る者たちが。妹らをメロンパン漬けにした者たちが密かに栽培した、闇農場だ。
 付近に民家でもあるのか。ラジオ体操のテーマ曲が、風の音に混じって流れてきた。
「やるなら急いだ方がいい。夜が明けちまうぜ」
「明けたことはない。あの日から、ずっと」
 新しい朝が来る。希望の朝が来る。そう、思っていた頃もあった。
 私は両手を広げ、空を仰いだ。
 太陽が、顔を覗かせたような気がした。

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  1. 2010/06/15(火) 01:47:29|
  2. 茶林小一
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Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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