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スカイマーカー

 風が強く吹いている。翔ぶのに最適とは言い難い環境だ。強風に凪がれてアルファは僅かに顔を顰めた。
 進行方向斜め前でブラヴォーが合図(ゴー)を送っている。アルファは操縦席から親指で合図(ラジャー)を返した。
 ヘルメットから通信(コールサイン)。
「歴史的瞬間だ。後世のために、何か名言でも残しておいちゃどうだ」
「一九九X年、世界は核の炎に包まれた」
「あん?」
「昔、そんな物語があった。しかも、沢山」
「ああ」
 だが今じゃもう、古びたSFだ。陽気なブラヴォーの声。それから通信終了(オーヴァー)。
 そうだろうか。通信の切れた操縦席で一人呟いた。
 そんなお伽噺があったから、望まない未来を回避しようと努力した。その言葉があったから、今を変えようと努めた。
 表出することはない。だがそれを成した者が、きっといる。世界が続いていること。そのために戦った者たちが、きっといる。
 翼も。想像力も。それは羽ばたかせるためにある。
 発動機が回転数を上げる。アルファは風防を展開した。
「よい旅を(グッドラック)」
 暴力的なG。銀色の浮遊機(フライヤ)が甲板から切り離される。畳まれていた両翼を力強く伸ばす。蒼く澄んだ空に、一筋の曳航線。
 未来へ向けて今、巨鳥が飛び立った。

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  1. 2009/05/27(水) 00:32:34|
  2. 茶林小一
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Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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