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緑乃帝國 緑のオンライン文芸誌

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スクリーンヒーロー

 隙間から差し入れられたのは、七インチくらいの小さな液晶画面だった。
 ヘルメットを被った、煤だらけの顔が淡い光の中に映る。がんばってください。もう少しですから。耳障りな轟音の中で微かに、上の方から声が聞こえる。声に合わせて、画面の中の口が動いた。
 熱さで意識が遠くなる。身体中が汗で湿っているのに、口腔内は渇ききっている。水が、水が欲しい。
 騒音は止まない。積み重なった瓦礫を取り除いているのだ。崩れないように。慎重に。大きいのは音ばかりで、背中に架かる重みは先ほどから変化がない。
 画面の中の顔が替わった。さっきまでと同じ、煤だらけだ。けれども、今度はヘルメットを被っていない。
 がんばって、ママ。
 今度は声は聞こえない。どこか安全なところにいるのだろう。でも、口の動きでわかった。何度も繰り返してくれるから、わかった。
 これでもう少しがんばれる。そう思った。


 平成生まれが成人することもビックリですが、震災から十四年も経ったこともビックリですよ。
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  1. 2009/01/27(火) 12:27:18|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

水よりも勇気の差し入れ

こっちの方が投稿作よりはあのサイト的には受けが良いんじゃないかな、ネタも被らないし、って思ったんですが。もちろん、『茶林さんはこうでなくっちゃいけない』っていう意味では(もしも僕の予想が当たっていたら)投稿作の方が『受ける』訳ですが、いずれにせよ面白いものを読ませていただきました。
  1. 2009/01/28(水) 03:37:12 |
  2. URL |
  3. 第51代くましろ #dfdn2D6U
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 むしろこちらを出さなくてよかったとかも思ったりしますがそれは置いといて。
 本作を思いつくきっかけになった今回の御題には感謝しています。たまにはこんな作品も、いいでしょう?
 来年はもう十五年になります。私もあのときはまだ学生だったので、あのときと今だったらまたできたことも違っただろうな、ということを思ったりもしました。
  1. 2009/02/03(火) 13:40:46 |
  2. URL |
  3. 茶林小一 #-
  4. [ 編集]

拍手のお返事

>拍手のお返事
 私の場合はO阪でいわゆる直撃ではなかったのですが、それでも周辺から様々な情報を見聞きしているのは確かだと思います。そういう人間が何らかの形で残すべき、というのはまさにその通りで、歴史の意義やペンが剣より強いとされる意義はそこにあると私も思います。
  1. 2009/02/03(火) 16:34:33 |
  2. URL |
  3. 茶林小一 #-
  4. [ 編集]

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Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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