緑乃帝國 緑のオンライン文芸誌

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神様は君が天国から逃げてきたって事、知ってるのかな?

「ねぇ、君って天国から落ちてきたとき、痛くなかったの?」
「貴様、なぜそのことを知っている」
 口説き文句に返ってきたのは意外な反応だった。
「知られたからには生かして帰すわけにはいかぬな」
 合コン会場となった居酒屋の中はまさに宴たけなわで、僕と彼女の会話に注意を払っている者はいない。そして皆酔っていた。僕も酔っていた。
 アプローチが悪かったか、と思った僕は別の台詞で攻めてみることにした。
「君の瞳が唯一僕に教えてくれないもの……。それはね、君の名前だよ」
「なるほど、読心術か。人間の中にはまれに神通力を備えている者がいるとは聞いていたが」
 彼女が急に立ち上がった。白いワンピースが酔眼に眩しい。酔った頭でも何やら彼女の機嫌を害したらしいと気付いた僕は、慌てて彼女に倣った。
「まあ、座りなよ。君は疲れているだろう? だって、君は僕の心の中を一日中走り回っているんだから」
「つまりすべてお見通しというわけか。この先この星がどうなるのかも、すべて」
「ああ。僕にとって世界はすべて僕のものさ。でも、もし君が僕の彼女になれば、世界の半分を君にあげよう」
 僕は彼女の両肩に手を置いた。あくまでもさりげなく、したつもりだった。
「貴様のその力と野望は、危険だ。今ここで排除する」
 彼女の両肩が光り始めた。思わず手を離す。聖女のようだった彼女の形相は鬼のそれに変貌し、瞳には炎が灯っていた。
「ご、ごめん! これはその、べつにやましい気持ちは……少しはあったけど! その、別にエロいことをしようとかそんなつもりじゃなくって!」
「黙れ。そして地獄で悔い改めろ」
 彼女の背中から銀色のアームが飛び出し、開いた。それはまるで、天使の翼のようだった。
 僕の視界が目映い光に包まれた。それが僕がこの世で見た、最後の景色だった。
 意識が消滅する最中。僕はインターネットで見た口説き文句ベストテンの記事を思い出していた。ああ、そうだ。あれにしておけばよかった。
「『とても綺麗なウイングだよ』って言ったら、君は僕を抱きしめてくれるかい?」
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  1. 2008/04/08(火) 20:44:54|
  2. 茶林小一
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

和吟でっせ

旧掲示板が生きていたので、陳腐とは思いつつ、謹んで再掲を(ゴメンナサイ)。僕自身気に入っているんで。
-------------------------
「ねぇ、貴方ってheavenから落ちてきたとき、痛くなかったの?」
ま、まずい、
『なぜ、そのことを知っているのだ?』
そう心の中で呟く。我々の計画がばれたのだろうか。そっと彼女の顔色を伺うと、媚び満点の顔だ。確かこの星には外面菩薩内面夜叉という諺があったな。という事は
『知ったからには生かして帰すわけにはいかぬ』
と解釈すべきだろうか? そこまで思った時、彼女は続けた。
「貴方の瞳が唯一あたしに教えてくれないもの……。それはね、貴方の名前だけ」
な、なぬ。なるほど、読心術か。思わず、俺はため息をついた。人間の中にはまれに神通力を備えている者がいるとは聞いていたが。
 こうなると我々の計画は白紙に戻さなければならぬかも知れない。俺は本部に指示を仰ぐべく外に出ようと立ち上がった。だが、彼女の読心術は、そういう俺の心まで見通していたようだ。
「まあ、座りなさいよ。貴方は疲れているのよ? だって、あたしの心の中を一日中走り回っているんだから」
やはり、、、。こうなったらやけだ。当たって砕けろ、彼女に噛み付いた。
「つまりすべてお見通しというわけか。この先この星がどうなるのかも、すべて」
合コン会場となった居酒屋の中はまさに宴たけなわで、俺と彼女の会話に注意を払っている者はいない。
「ふふ。あたしにとって世界はすべてあたしのもの。でも、もし、貴方があたしの彼氏になってくれるなら、世界の半分をあげてもいいわ」
 そう言いつつ、彼女は俺の両肩に手を回した。表面上はあくまでもさりげなく。
ん?! こいつ、もしかして? 俺の正体を知った上で、このような提案をしてくるとは、奴らもまたこの星を狙っているという事か? とすれば、連中は地球人ではない。いや、それどころか太陽系の者でもあるまい。外からの侵略者だ。ただ、このような提案をする以上、侵略は準備段階なのだろう。
 俺はこの時目覚めた。
「奴のその力と野望は、危険だ。今ここで排除せねば」
そう、我々、太陽系の同胞はエイリアンと闘わねばならぬのだ。我々の移住計画を完遂させる為にも! そう決意した俺は、彼女の手を振る払い、相打ち覚悟で、着ぐるみの秘密の穴から触手を出した。もちろん、彼女の首を絞める為だ。はやくせねばこっちがやられる。
 だが、その瞬間、彼女がこう抜かした。
「『とても綺麗なウイングだよ』って言ったら、貴方はあたしを抱きしめてくれる?」
駄目だ。先の先まで読まれている。読心術には到底かなわない。俺は敗北を感じ、手を止めた。そうして、
「ご、ごめん! これはその、べつにやましい気持ちは……少しはあったけど。その、別にエロいことをしようとかそんなつもりじゃなかったんだ!」
と言いつつ、触手を引っ込めるのが精一杯だった。いや、まだ負けた訳ではない。これから長い闘いが始まるのだ。地球への移住に向けて。マルデタコ族の生き残りをかけた、、、。
 酒屋は酔っぱらいで満たされていた。
  1. 2008/04/08(火) 23:53:01 |
  2. URL |
  3. おちばたあ #dfdn2D6U
  4. [ 編集]

抜け落ち

 そういえばどこにも正式公開していなかったなあ、と思い、こちらに掲載しました。一ヶ月更新がないと広告が表示されるそうなので。
 最近あちこちで公開して散逸してしまっている作品などを掘り出している最中なので、また懐かしいモノが載っかったりするかもしれません。
  1. 2008/04/15(火) 13:13:54 |
  2. URL |
  3. 茶林小一 #I9hX1OkI
  4. [ 編集]

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Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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