緑乃帝國 緑のオンライン文芸誌

世界の緑化を推進するウェブログ形態のオンライン文芸誌

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

ペンギンフェスタを読もう2012 その3

プラットホーム / BUTAPENN
 すごいものを読んだ。
 主催者でもあるbutapennさんが認知症対応型共同生活介護、グループホームを舞台に描かれた作品です。
 主人公のユルはグループホームで働く新米職員。拙いながらも毎日がんばっているが、幼稚園の先生になる夢をあきらめてこの職に就いたことが心の奥底に澱みわだかまっている。
 そんなユルから見たグループホームの日常を切り取った作品です。
 本作は介護小説であり、職業小説であり、そしてまた青春小説でもあります。介護施設という舞台に様々な縦糸、横糸が絡まり合い、様々なドラマが生まれてゆきます。
 介護施設が舞台のお話なので、当然、介護に関する様々な事柄が作品中には出てきます。私に限らず、ここに書かれていることの半分からそれ以上の事柄は、この情報化社会に生きてる日本人であればおそらく「知っている」事柄であると思います。ですがそれを情報として知っていることと、肌で感じることは違う、ということに、読んでいるうちに気付かされるはず。
 本作には確かに、擬似的にそれを肌で感じさせてくれる熱量と伝えたい気持ちがあった。そう思います。現場にいる人間がどういうことを感じているか。そういった事柄を通して何を考えているか。ひいては「どんな世界をつくってゆきたいと思っているか」をしっかりと提起し、引き出されていたと思います。一面で当事者でもあるbutapennさんがよくぞ書いてくれたものだと思うし、butapennさんだから描けたんだろうと思います。
 ここまでの紹介だと重々しい作品に受け取られがちですが、作者さんの力量ゆえか、その筆致は押しつけがましくなく、軽やかです。敬遠せず、ぜひ読んでみて欲しい作品です。お薦め。

I FISH / tomoya
 すごいものを読んだ。
 tomoyaさんはたまーに読者を試すような作品を出してきて「はははこやつめ」とか思うんだけど、これもそういう系統の作品になると思う。
 とにかく読みにくいというか難解な作品です。たぶん流し読みでは、そこにどんな「お話」が綴られているかさえ、わからなくなってしまうと思う。この作品を読んでいくためには、読者が自身で積極的にパズルのピースを集め、読み説いていかなければならない。一種インタラクティブ的な、ゲームのような趣のある作品であると思います。
 ピースが埋まり、物語の全容が掴めたとき、読者は大きな快感を得ると思う。説明はし難い。万人にお薦めとは言い難い。だがぜひ一度、この作品に触れてみていただきたいと思う。

ペンギン・マター / 迅本 洋
 ネタがかぶってるよ迅本さん!
 ……ええ、そんな個人的ツッコミはさておき、ペンフェスラストに投稿された迅本さんのペンギン・マターです。
 夏休み、父の実家に帰省した緒方夏海と雪丸の姉弟は、付近に落ちた隕石を発見する。卵のような形をした隕石は夏海たちが近付くと、突然割れ始める。中から出てきたのは、ペンギンのような格好をした生命体だった。
 四人家族とペンギン型宇宙人のひと夏の邂逅を描いたお話です。
 本作は迅本さんが書かれた初長編だそうです。迅本作品のすべてに触れたわけではないけれども、僭越ながら言わせていただくなら、現時点における迅本さんの最高傑作である、と言い切っていいと思う。
 迅本さんが普段から掌編で示されている青春群像・人間愛・それに対比するリアリズム・そして笑いのすべてが、この作品には込められていると思う。そしてそれらが上手に融合し、とても快い「ひと夏の物語」を描き出してくれている。
 迅本さんの素晴らしさは、当たり前にそこにあるものを、魅力的に描いてくれることだ。夏の暑さ。入道雲。夏休みの宿題。片田舎の風景。そういった事物のひとつひとつが、魅力的に、そこにあるように描いてみせてくれる。私たちは読み進むうち、そんなキラキラした夏の世界に飛び出していける。
 ペンギンフェスタの会期に関係なく、ぜひ多くの人に読んで欲しいと思った作品です。お薦め。

スポンサーサイト
  1. 2013/04/05(金) 00:00:00|
  2. 緑の読書録
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
| ホーム | ペンギンフェスタを読もう2012 その2>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://chabayashi.blog71.fc2.com/tb.php/117-23af30da
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

編集人

茶林小一

Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

最近の作品

作者一覧

最近のコメント

最近のトラックバック

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する