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オンライン文化祭2011―夜―書評 その3

〈ローズ〉の末裔 / suzu3neさん
 おそらくオンライン文化祭作品中最長の作品ではないかと思います。
 suzu3neさんは前回参加された『ハーメルンの黄昏』も長大な作品でした。まずこれだけの分量を書かれるのがすごいなあ、と、いつも短めな私個人としては感心することしきりです。
 もちろんただ長いだけではなく、その中に重厚なテーマ、精密な設定、登場人物たちの複雑な思考経路を詰め込んでいて、分量に相応しい内容になっています。前回の『ハーメルンの黄昏』は文化祭参加作品中の個人的ベストに挙げさせていただいたのですが、本作も私個人としては現在のところでかなり上位に位置しているので、まずは皆さん腰を落ち着けて読んでいただきたいと思っています。
 さてその上で。私は今回この長さをどうにかできないかとツッコンでみました。
 というのも実は、『ハーメルンの黄昏』と本作を読んで、suzu3neさんには一つ弱点があるのではないか、と思ったからです。それは「情報(設定)をすべて開示しないと落ち着けない」ということ。情報の優先順位、取捨選択が不充分なのではないか、と感じたのです。
 suzu3neさんの作品を読んでいて思うのが、とにかく情報を追っていくのが大変だ、ということです。特に中盤以降、話が転がりはじめる前段階当たりで、この傾向が強い。とにかく次から次へと「知っておかなければならないこと」が出てきて、それに対する登場人物の「考察」が加わる。そしてこの「考察」が、例えば何段階かの論法を経て結論へたどり着くものだったりします。
 これはもちろん読む側にも負担を強いてしまうものではあるのですが、それ以上に何よりも作者であるsuzu3neさんの「これを書いておかないと」「この情報を先に出しておかないと」という焦りや強迫観念を感じてしまう。もちろんそれらは大抵大事なもので、大抵は書いておかなければならないものなのですが、そこにおそらく受け手側のキャパシティというものが考慮されていないように感じる。これは『案君・潔秘(あんくん・きよひめ)』を読んだときにも顕著に感じました。
 suzu3neさんなら許していただけると信じて、もう一歩踏み込みます。原因はおそらく、読者との距離感が上手く取れていない、読者の思考力・想像力の水準をかなり下方に置いて執筆されているからではないかと思う。
 読者の水準をどこに置くかというのは、とても難しい問題です。suzu3neさんの執筆姿勢は、親切だと思う。けれども、手取り足取りすべて教えて、決まったレールの上を歩ませるのがやさしい人間であるとは限らない。子ども扱いするな。そう叫びたい読者も、いるかもしれない。私のことだ。
 言わせていただけるなら。suzu3neさんはもっと読者を信用していい。人間を信用していい。
 そして前々回の考察にも繋がりますが、一部の情報に関しては「ここは全員がわからなくてもいい」とぶん投げる部分も「suzu3neさんの作劇」においては、必要な部分もあるのではないかと思います。
 たぶん、小説の技術的なこととか、そういうことではなくて、私はすごく抽象的な、精神的なことを書いているのだと思う。でも私は、読者を信じたsuzu3neさんの作品というものを、いつか読んでみたい。そう思う。

惣暗(つつくら) / BUTAPENNさん
 牢に閉じこめられた元王女のヒヨとそこで出会った惣暗と名乗る者との、邂逅の物語。
 そしてまた、重層的な成長の物語であるともいえます。王女として我が儘に育っていたヒヨが、惣暗と出会い、反発しながらも様々なことを知っていく中で、人でなしから人へ、有象無象から支配者たる者へ、そして少女から女へと変貌を遂げていく。それらが重なり合うように織り込まれ、紡がれていきます。
 ラストの場面。成長し、檻から出たあとのヒヨの言動が圧巻。爽やかな感動の残る作品でした。

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  1. 2013/03/28(木) 00:00:00|
  2. 緑の読書録
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Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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