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緑乃帝國 緑のオンライン文芸誌

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バベル13

 それは雲を突き抜け、大気圏に達しようという勢いで伸びていた。
 老朽化のため改装されることになった通称TWO天閣は、知事の肝煎りで新しいプロジェクトに組み入れられた。昨年、我が国よりも少々早く改装に着手し、今や世界第一との評判を得ている、隣国のK都タワーに対抗してのことだった。
 知事の提案は突拍子もないもので、多くの反対意見が持ち上がった。特に強く反対したのは、歴史学者だ。
「その昔、我が国と隣国は一つの国であった。しかしながら、ときの帝が天まで届かんとする塔を建立した。その結果、どうなったか。知らぬ訳ではあるまい」
 怒れる神は塔に雷を落とし、この国と隣国を分かたれた。今では、距離にしてほんの僅かであるというのに、言葉すら通じない。別の文化が、息づいているのだった。
 知事はゆっくりと、言葉を紡いだ。まるで、その意見が出るのを待っていたかのように。
 新たな塔は完成した。あとは、待つだけだ。
「大丈夫でしょうか」
 隣に立つ技官が、不安そうに知事に問うた。
「大丈夫だ。問題ない」
 神は言った。己に届かんとする塔を立てるならば、それを破壊すると。
 天に光が走った。
「来たぞ!」
 例え世界一高い塔であろうとも。宇宙からこの星を見れば、ほんのちょっと突き刺さった棘のようなものでしかないだろう。だがそれでも。自然という神の奇跡の御技であれば。超一流スナイパーが過たず標的を仕留めるように。
 頂上に取り付けられた杭田織太郎に光が落ちた。高く掲げられた、いつもは太鼓を叩くその両手を伝い、塔全体にギガワットのエネルギーが満ちる。
「蓄電池、すべて起動!」
「こりゃすごい! 関電さんに泣いてもろた甲斐があったで!」
 塔を中心に、国中に光が広がっていく。これは神の怒りではない。神の恵みだ。広がる光は、家々の希望の灯火だ。
「これでO阪は、あと三年は戦える」
 目映く照らされていく街を見つめながら脳内で電卓を叩き、知事は邪な笑みを浮かべた。

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  1. 2011/02/22(火) 10:22:18|
  2. 茶林小一
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編集人

茶林小一

Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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