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読書録 2008/8/26

神様のパズル / 機本伸司
 SFファンのための小説というのがある。平たく言えばSFファンなら読んでも面白いけれどそうでない人は読んでも面白みを感じられない作品のことだ。具体的には読者が知識を持っていることを前提で科学的、物理的考証が登場したり、過去の有名SF作品を下敷きにしてそれらを当然読んでいるモノとして書き綴られているような作品群だ。
 この作品も大まかに分類すれば上記の作品群に入る。私もどちらかといえばSFファンの範疇にはいると思うのだけれど、正直上記のような作品群は好きじゃない。端的にいえば、お話として面白くないモノが多い。
 なのになぜわざわざここで紹介しているかというと、作品ではなく作者の成長度合いが面白いからだ。機本伸司は現在五作品ほどを発表しているが、デビュー作が最も面白い多くの作家と異なり、後に書かれた作品の方が面白くなっていく希有な作家だ。
 本作は機本伸司の第一作目に当たる。つまり、彼の作品の中では最もつまらなく、最もSFファン向けというかはっきりSF"オタク"向けだと思う。おそらくそういう素養のない方は三分の一ほどで投げ出してしまうと思う。とにかく登場人物全員の価値観やら行動の優先順位やら、つまり何を考えて動いているのかということが最後のページを繰り終わってもまったくわからない。よくいわれる「人間が描けていない」という言葉をそのまま進呈したい。
 本作を紹介するのはあくまで次作への布石のためである。作品単体としてはあまりお薦めしない。

メシアの処方箋 / 機本伸司
 で、こちらが次作。前作を読んだあとにこちらを読むと驚くと思う。前作がSFオタクのための作品であったのに比べると随分とエンターテインメントになっている。前作よりも語りたいことがはっきりと提示されているし、「人間が描けていない」部分も残ってはいるがかなり感情移入しやすくはなっている。僭越な物言いだけれど普通にお薦めできるレベルの作品だと思う。
 前作も本作も、目の付け所やロジックという点では興味を惹かれるものがある。瑕疵はあるもののオンリーワンであることは間違いないだろう。

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  1. 2008/08/26(火) 19:33:45|
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茶林小一

Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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