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ザ・ロング・グッバイ

 自発的なものでないにせよ政治的思惑が働いたにせよ、第二次世界大戦と呼称される大きな戦争を経て、君は初めて公的に武力を所持しないという国を得ることになった。例え建前であるにせよ、自衛以外の目的で外敵に向けて暴力を行使しないという国家をつくり得ることに成功した。人類の発祥より永劫に続くであろうと思われた徴兵という大組織による暴力奉仕の強制というシステムが途切れることと相成った。これが人類の歴史に於いてどれほどの事件だったか、君は考えたことがあるかね?
 今、歴史は繰り返そうとしている。歴史に学ばず、暗い過去に背を向けるのならば。人間たちはまた同じことを繰り返すだけだ。
 一歩進んでは二歩戻る。そのような行動を、君は何千年も、何万年も。
 未来永劫、繰り返すつもりなのかね?
 君が何歳に至るまで、幼児の如き言動を続けるつもりか、私は知らない。だが、私の言葉によって傷ついたり怒りを露わにしたりできるプライドが僅かでも遺っているのならば。今、君が成長するためには何をするべきか、考えるべきだ。
 今、君がいうように、未来を過去に後退させ、それで事態が収束したとしよう。だがそれは、君にとっては敗北だ。君の中に於いて、武力を行使しないという国家は、やはり存在させることができませんでした。そんなものはただの夢物語でした。
 そう宣言することと同じなんだ。わかるかいキッド。
 君の瞳にまだ灯る光が残っているなら。そうだな。足掻いてみるといい。たとえ腕が二本しかなくったって、できることはあるはずだ。
 君が私と酒を酌み交わせるようになるまで。
 ソーロングだフレンド。グッバイは言わない。
 これは、君の中の最も暴力的な国家が残した挨拶だ。だが、最も美しい挨拶だ。
 次に君と会うときには。君の五本指の手と、私の指のない手で。
 握手できるよう願っている。
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  1. 2006/11/21(火) 19:57:06|
  2. マル=デ=タコ
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茶林小一

Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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