緑乃帝國 緑のオンライン文芸誌

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個人的には、メロンはあった方が嬉しい

 まずはチチスキー兄弟について語らねばならない。
 チチスキー兄弟はロシアにおける機械工学の最高権威であった。彼らが共同開発した人工知能と人型基礎フレームの構築理論はロシアの貴重な財産であり、彼らがそれまでに積み上げた国への貢献度は、他の学者たちの追随をまったく許さなかった。
 彼らは彼ら自身の理論を実証するため、現実的な人型アンドロイドの設計に取りかかった。アンドロイドはボディバランスや様々な問題への対処を考慮して、女性型を採ることが二人の間で確認された。
 問題はその後に起こった。兄のオッキナ=チチスキーがエネルギー効率に利のある巨乳型を提案したのに対して、弟のチッサイ=チチスキーは軽量な貧乳型の方がアンドロイドの造型には相応しく、胸部にアザラシを棲まわせたごとくの不格好な巨乳型は好ましくない、と真っ向から対立した。
 二人の意見は交わりを見せず、ついには両者がそれぞれのアンドロイドを製造し、対決させるという問題に発展した。
 二年後。対決のときがやってきた。
 推定Fカップを所持する、重量感溢れるアンジェリーナと、デコルテさえ存在し得ない、スリムな造型のユキエはツンドラに対峙し、相手を完膚無きまでに破砕抹消せんと行動を開始した。
 ヘッジホッグのごとくに武装したアンジェリーナが先制攻撃を仕掛け、銃弾とロケット弾、レーザービームの雨を降らせる。軽量なユキエはバーニアをフル稼働して弾幕を避けきり、高速振動ブレードで反撃したが、アンジェリーナの磁気単極子フィールドに遮られた。
 このままでは決着がつかないと判断した兄弟は、すべてのリミッターを解除させた。見物していた高官たちが慌て、彼らの暴挙を阻止しようとしたが、そのときはすでに遅かった。
 アンジェリーナからは熱核ミサイルが一ダース射出され、ユキエはモスクワまでも浸透する超強力な攻性ECMを発動した。
 その結果がどうであったかは、諸君が知っての通りだ。そして偉大なる兄弟は、もうこの世にはいない。
 そこで諸君。私は君たちに問いたい。
 我々は大と小を交わらせることはできないのだろうか、と。
 人にはそれぞれ嗜好やこだわりがある。だが、それこそが世の災禍を招く原因であるとするならば。
 他者の持つこだわりを尊重し、理解することこそが、平和へ続く道への近道なのではないだろうか。
 焦土と化したこの国土を見るたびに、私はそう思わずにはいられないのだ。
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  1. 2006/06/22(木) 19:48:25|
  2. 茶林小一
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チョコ痕

 オッキナ=チチスキー博士によるとカカオにはギャバやポリフェノールといったストレス軽減やダイエットに効果的な成分が数多く含まれていることは有名だがその副産物としてホルモンの健全化による豊胸効果が認められることに注目が集まらないのは遺憾であり、世の中に大きな胸が好きな男性と己の肉体的官能性能を気にする女性がいる限りその価値観は不変であるのでカカオの遺伝子より取り出した巨大化因子を組み替え定着させた名付けて巨乳化因子を含んだそれは必ずヒットすると思ったので開発して発売に漕ぎ着けたそうである、ので色気を露ほどにも感じさせない己のスタイルに不満を抱いていた由紀恵はアンジェリーナの如くの体型にシフトチェンジするべく発売されたばかりのそれを食べ漁り、飲み干し、疾り、泳ぎ、跳び、ヨガ、ウォーキング、林檎、あんぱん、納豆、ボディブレード、Xウォーク、ロデオボーイ、ともかくありとあらゆる夢幻の荒野を制圧して気がつけば一ヶ月が経過しており、さて効果のほどはどうだと三十日ほど前までは起伏の乏しかった胸の裡をときめかせつつキャミソールをめくり覗き込んだそこには九十九パーセントカカオでできた頭頂部がちょここん。
  1. 2007/03/27(火) 19:09:23|
  2. 茶林小一
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這い回る蝶々

 ハイマワル憲法第九条により、蝶長の飛行は禁じられている。
 蝶長に就任したものは去翅され、飛べない状態で職務に当たることが義務づけられている。だから蝶長は残された六本足で、あちらをウロウロ、こちらをオロオロと動き回ることになる。
 九条のおかげで蝶長同士の争いはなくなったが、地上を行くことで下々の蝶が触れあう機会も多くなり、蝶長自身ではなくその権益に興味を持つ蝶も擦り寄ってくるようになった。
 飛行能力を失った蝶長に移動手段を宛ったり、花蜜や夜蝶を振る舞ったり。その態度はあからさまで、蝶民は皆眉をしかめたが、中にはそんな誘惑に負け、誘蛾灯へと導かれゆく例も少なくなかった。
 各地で九条の撤廃が叫ばれるようになったのは自然の流れだった。が、叫んでいる蝶の九割は蝶長に羽があった頃を知らない世代であった。蝶議会に席を持つ蝶たちも戦争を知らない世代であり、そういった背景もあって九条撤廃の議論が声高になったのであった。
 おしなべてこの世は弱肉強食。それは蝶たちにとっても同様であった。
 辛かったことはすぐに忘れる。美しい姿態が土に汚れ、体液を垂れ流す死骸がアスファルトを埋める。
 そんな未来が近付いている。
  1. 2007/05/08(火) 13:14:28|
  2. 茶林小一
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Author:茶林小一
 バカSFからバカSMまでをモットーに、火星人や大和撫子などの絶滅危惧種を保護するため世界緑化運動を推進しています。応援よろしくお願いします。

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